患者さんのQOLを高めるために、より高度な医療を。
当院は東濃地域の基幹病院であり、歯科口腔外科においても地域医療機関と連携した2次、3次医療としての役割を担っています。私たちは舌癌・歯肉癌などの口腔癌をはじめ、顎変形症、顔面外傷や重症歯性感染症に至るまで、高度な医療を要する疾患を主に全力を挙げて取り組んでいます。とりわけ口腔癌は、根治性とともに外科手術によって生じる機能障害という相反する課題に取り組んでおり、いかに患者さんのQOLを下げずに治療するかに心血を注いでいます。 歯科医療のなかでも口腔外科は特に、人の命そのものや、摂食、嚥下・構音・味覚機能や口腔、顎、顔面の自然な形態や審美性に直結する分野であり、やりがいは大きいと確信しています。
今しか学べない全身管理に重点を置いた研修。
口腔外科は医科との連携が欠かせない分野です。手術に臨む際には、患者さんの全身疾患や術中の全身状態の変化、合併症などを把握し、慎重に治療を進めなければなりません。よって当科の研修では、1年目に口腔外科、形成外科、耳鼻咽喉科、放射線診断科・放射線治療科、病理診断科といった口腔外科と深く関わる分野、2年目に麻酔科の研修を組み込み、全身管理に対する理解力を高めてもらっています。これは、将来的に口腔外科への道を極めていく方だけでなく一般歯科へ進む方にとっても有効です。超高齢社会である現代は、ほとんどの患者さんが有病者といっても過言ではありません。局所麻酔や切開ひとつとっても、患者さんの基礎疾患や服薬状況をふまえた診療を求められるのは必然でしょう。しかし、歯科医として独立した後は、麻酔を含む全身管理を学べる機会はありません。だからこそ研修医時代にしっかりと習得し、口腔のスペシャリストになってほしいと思っています。
幅広い医科の仲間と送る研修生活は、将来の糧に。
当院で研修を受ける最大の魅力は、さまざまな医科の研修医のメンバーと研修医生活をともにできることだと思います。日頃から相談や情報交換ができるのはもちろん、各分野の専門医とネットワークを持っていることは将来の仕事にも役立つからです。これは、歯科大学での研修では得られない大きなメリットでしょう。
また、1年目から積極的に学会発表や論文投稿を義務付けています。若いうちから口腔外科疾患を多方面から分析する力を養うこと、また業績を積み重ねておくこと、口腔外科のスキルアップをはかること、学会認定医や指導医を取得することのバックアップも私たちの任務だと考えています。